2022年2月24日適用の管制方式基準改正で、SSP体制が見直され、LVP/LVPDが導入されます。
どのようなものかをわかりやすく説明します。
注意点も最後の方に記載しますので、是非最後までチェックしてください!
用語
LVP(Low Visibility Procedure 低視程体制)
→CATⅡ/Ⅲ運航及び低視程離陸の要件が整っている状態
LVPD(Low Visibility Procedure for Departure 出発用低視程体制)
→CATⅡ/Ⅲ運航の要件が整っていないが、低視程離陸の要件が整っている状態
LVTO(Low Visibility Take-off 低視程離陸)
→RVR400m未満のTake-off minimaを適用した運航
背景
現行のSSP体制は、CATⅡ/Ⅲ運航による低視程進入と低視程離陸の両方を包含しているため、低視程離陸を行うためにはSSP体制が必要でした。
そのため降雪によりCATⅡ/Ⅲ ILSが使用不能になると、離陸ができない事例が発生していました。
今般、CATⅡ/Ⅲ運航と低視程離陸を分離して運用可能にするため、LVP /LVPDが導入されました。
つまり…
低視程下で「CATⅡ/Ⅲ ILS」が動作していない時に、SSP体制を確保出来ないため、離陸ができず、運航効率が低下する事象が発生していました。 この状況を改善するため、低視程下での離陸に適用される要件を新たに定めたのです。 |
改正方針
- 離陸のみに適用される要件を新たに定め、SSP体制はLVP/LVPDに名称があらためられます
- それぞれの運航に必要となる要件は、ICAO Doc.9365をベースに定められます
- もともとICAOでは低視程離陸条件に「CATⅡ/Ⅲ ILS正常作動」と「ILS Critical Area」の確保は含まれていません。
- 空港ごとに対応が分かれていた体制適用時の周知方法が統一されます
LVP/LVPD適用までの流れ
LVP適用までの流れ
- プリアラーム値になったら、管制官が関係部署にLVPを要求
- CATII/III運航及び低視程離陸の要件を確認
- 関係部署が管制官に「 必要灯火 / RVR / CATII/III ILS /二次電源の正常作動 / ILS critical area 保護 」 を連絡
- CIG 200 / RVR 550未満になったら、管制官が LVP ( CATII/III運航及び低視程離陸体制 ) を適用
- 航空機に “ LVP in force ” を通知
→ CATII/III 進入 & LVTO が可能
LVPD 適用までの流れ
- プリアラーム値:管制官が施設運用状況確認を依頼
- RVR 400 未満:低視程離陸の要件 「 必要灯火 / RVR/ 二次電源の正常作動 」 を確認後、LVPD を適用
- 航空機に “ LVP for departure in force ” を通知
→ LVTO が可能
LVP/LVPDに係る情報提供について
現行
- 各空港のAIPで適用の気象条件を明示
- SSP体制を適用または維持ができない場合に管制官からの通報・ATIS・NOTAM等でその旨情報提供
今後
- 各空港のAIPで適用の気象条件を明示
- LVP/LVPDの適用・維持状況について、管制官の通報やATISで情報提供を実施
今までは、気象条件を満たせば自動的にSSP体制が確立されていて、確立できていない場合にATISに表示されていましたが、今後は適用されているということも記載されるようになります。(一部空港ではSSP体制の適用もATISに記載されていました)
対象空港は釧路、新千歳、青森、成田、羽田、中部、関西、広島、熊本で、出発・到着共に ATISで情報提供されます。釧路,青森はATISがないので、出発機はTower、到着機はACCから情報提供されます。
留意点
“LVP for departure in force”は、到着機に対しても通報されます。
この状態では、CAT II/III ILS は実施不可能で、LVTOのみが実施可能であることに注意が必要です。
- LVP in force
- CAT II/III ILS ○
- LVTO ○
- LVP for departure in force
- CAT II/III ILS ×
- LVTO ○
- LVP not available due to ……
- CAT II/III ILS ×
- LVTO ×
まとめ
LVP/LVPDについて特集しました。
私自身、さっそく関空のATISで「LVPD in force」がATISに記載されているのをみました。
今までは、ATISにSSP体制が確立されていることを記載している空港と、記載していない空港があって、わかりづらいところがありましたが、今回の改訂で分かりやすくなりましたね!
では、また次回お会いしましょう!