パイロット知識

【ATC】SDC 管制承認の簡素化について

今回はSDC(Simplified Departure Clearance)についての記事です。
この記事ではSDCとはなにか、その運用方法について書きます。

【文献:管制方式基準Ⅱ-8, AIM-J424】

SDCとは

  • 通常、ATCクリアランス発出前に行っている飛行場管制所と管制区管制所、またはターミナル管制所と管制区管制所との調整を省略して、クリアランスを発出する方式です。
  • 巡航高度の代わりに初期上昇高度のATCクリランスが発出されます。
  • SDCを行うには、管制所同士で調整要領や協定書を定める必要があるため、すべての空港で実施しているわけではありません。

ATC要領

SDCを行っていない空港では、Clearance発出のやり取りは以下のようになります。

C:管制  P:パイロット
P:Akita TWR JA123.
C:JA123 Akita TWR Go ahead.
P:JA123 to RJTT FL260 SPOT1.
C:JA123 STBY for Clearance.

C:JA123 Clearance, Ready to copy?
P:JA123 Go ahead.
C:JA123 Cleared to RJTT via Choka○Departure then Flight planned route, Maintain FL260 SQ1234.
P:JA123 Cleared to RJTT via Choka○Departure then Flight planned route, Maintain FL260 SQ1234.

以上のようにClearanceをPilotから要求した後に、STBYと言われて、数十秒から数分待った後にClearanceが発出されます。

SDCがある空港では、Clearance発出のやり取りは以下のようになります。

C:管制  P:パイロット
P:Osaka Clearance JA123.
C:JA123 Osaka Clearance Go ahead.
P:JA123 to RJTT FL260 SPOT1.
C:JA123 Cleared to RJTT via ASUKA○Departure SHTLE Transition then Flight planned route, Maintain FL170 Expect FL270 SQ1234.
P:JA123 Cleared to RJTT via ASUKA○Departure SHTLE Transition then Flight planned route, Maintain FL170 Expect FL270 SQ1234.

以上のように、管制区管制所との調整が不要なので、すぐに初期上昇高度でClearanceが発出されます。

また、原則“Expect”の後に、予定巡航高度が通報されます。
この高度は単なる情報なので、省略されることがあります。
ですので、通信機故障等に適用される高度でもありません。

通信機故障等に適用される高度でもありませんとは…

通信機故障時には、
「指定高度または最低高度のいずれか高い高度で決められた時間まで飛行し、その後は通報した飛行計画の高度を維持して飛行する。」とあります。
SDCのExpectで言われた高度は、この指定高度にはあたらないということです。

今回の内容は以上です。
SDCはなにかというのと、ATC要領について解説しました。また次回もお楽しみにしてください。