上昇中や降下中、巡航中に周波数が変わる時、次の周波数へのイニシャルコンタクトでは何を伝えればいいのでしょうか?
HeadingやSpeedを指示されていた場合は、次の周波数に移管された後にもHeadingやSpeedを伝えた方がいいのでしょうか?
周りのATCを聴いていると、さまざまな言い方をする人たちがいます。
会社によっても色があるなと思うこともあります。
そこで、今回は「何を最初に伝えるべきなのか」をまとめてみました。
文献【ENR 1.5-3、AIM-J 531】
通信要領
結論から言います。
イニシャルコンタクトの時には、指示されていたHeadingやSpeedは不要です。
AIPから引用すると以下のように記載されています。
操縦士は、新たな管制機関との最初の交信設定時に、巡航中であれば維持している高度、上昇/降下中であれば指定された高度及び通過高度を100フィート単位で通報しなければならない。
AIP ENR 1.5-3
上記のように、通信移管の時には高度を通報するように記載されています。
そのため、そのほかの不要な情報は伝える必要ありません。
以下のように通信設定を行います。
Tokyo Control JL514, Leaving FL211, Climbing FL340.
Tokyo Control JL514, Maintin FL340.
指示されたHeadingやSpeedについては、管制官同士で共有されていますので安心してください。
高度制限がある場合
それでは、今の高度とアサインされている高度の間に、SID/STAR等で高度制限がある場合は、アサインされている高度は、どの高度になるでしょうか?
例として、新千歳空港のRWY19Rを羽田方向に出発後に、Chitose Departureに通信設定する場合を考えます。
- 新千歳空港からの羽田空港に向かう時、SDC(管制承認伝達方式の簡素化)としてFL200が指定されます。
- 19Rから離陸後、JUGGLAR Departureで飛行する場合、at or below 11000ftの制限があります。
実際に飛行していていると、以下の3パターンくらいで通信しているのを聞いたことがあります。
どれが正しいでしょうか?
- Chitose Departure JL514, Leaving 1500′, Climbing FL200.(SDCで指定された高度)
- Chitose Departure JL514, Leaving 1500′, Climbing 11000′.(SIDの高度制限)
- Chitose Departure JL514, Leaving 1500′, Climbing FL200 with Restriction.
正解は…
Chitose Departure JL514, Leaving 1500′, Climbing FL200.が正しいです。
途中の高度制限はあくまで高度制限ですので、アサインされた高度ではありません。
また、With Restrictionみたいに補足情報を付け加える必要もありません。
まとめ
管制移管の時のイニシャルコンタクトについての記事でした。
分かりやすいかな?と思って付け加えて言っていることが、ATCを不必要に占領する結果になってしまいます。
できるだけ必要な事項をシンプルに伝えることを意識してみてください!
ではまた次の記事をお楽しみに!